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墓所でのテナーの過去やハイタカの関係は?なぜゲドと呼んだ?テルーとの関係も気になる【映画 ゲド戦記】

金曜ロードショーで放映されたジブリゲド戦記。ハイタカを支える姿が何とも頼もしいのですが、のっけからとても親し気にしています。その後も、いつどのように親しくなったのかの説明は見られず、いったいいつからの知り合いで、どんな素性の持ち主なの?時になった方も多かったのではないでしょうか?

今日はそんなテナーの素性やハイタカやテルーとの関係を調べてみました。

この記事はネタバレを含みます。映画を未視聴、原作未読の方は特にご注意ください

目次

テナーの過去は?

テナーの過去:ハイタカと出会う前の人生

ジブリ映画『ゲド戦記』では、テナーはテルーと暮らしながら、ハイタカ(ゲド)をかくまう女性として登場します。しかし、彼女の過去についてはあまり語られていません。原作では、テナーには壮絶な過去があり、それが彼女の人生観やハイタカとの関係に深く影響を与えています。

ここでは、映画では描かれなかったテナーの過去について、原作『ゲド戦記』第2巻『こわれた腕環』の内容をもとに紹介します。

1. カルガド帝国での誕生と「巫女」としての運命

テナーはカルガド帝国のある地方の一般の家庭に生まれました。幼い頃は普通の子どもとして家族と暮らしていましたが、彼女が5歳のときに「アチュアンの墓所の大巫女の生まれ変わり」と認定され、家族から引き離されます。この認定は神殿の司祭たちによって行われ、厳格な儀式のもとで決定されました。

「大巫女の生まれ変わり」という信仰に基づき、彼女は新しい名「アルハ」を与えられ、故郷を離れ、アチュアンの墓所へ連れて行かれました。そこから彼女の過酷な人生が始まります。

2. アチュアンの墓所での生活はどんなもの?

神殿に入ったアルハは、幼いながらも特別な存在として扱われましたが、それは単なる崇拝ではなく、支配と管理の対象でもありました。神殿の巫女たちや司祭たちは彼女を敬うふりをしながらも、彼女が自由に行動しないように巧妙に制限を課していました。

  • 厳しい教育と宗教的洗脳
    彼女は毎日、神聖な掟を学ばされ、「神々に仕える巫女としての役割」を強く植え付けられました。「お前は選ばれし者であり、墓所の主である」という言葉を繰り返し聞かされることで、彼女は次第にその役割を受け入れるようになります。
  • 他の巫女との関係
    彼女の周囲には年長の巫女たちや、神殿の権力を握る司祭たちがいましたが、彼らはアルハを決して対等な存在として扱いませんでした。特に年長の巫女たちは彼女を「神聖な存在」として崇拝する一方で、内心では幼いアルハを見下していました。彼女が自らの意志で何かを決めようとすると、「それは巫女のすべきことではない」と抑え込まれました。
  • 孤独な日々と恐怖
    彼女は「墓所の主」としての特権を与えられたはずでしたが、実際には暗闇と孤独に囲まれた生活を強いられました。アチュアンの墓所はカルガド帝国の中でも最も神聖な場所の一つとされていましたが、同時に恐ろしい場所でもありました。彼女は生贄の儀式を目の当たりにすることもあり、それが「正しいこと」として教えられていました。

3. アルハ(テナー)に起こった気持ちの変化

アルハは長い間、自分の役割を受け入れようと努めていましたが、心の奥底では疑問を持ち続けていました

なぜ私は選ばれたのか?

彼女は本当に前世の大巫女の生まれ変わりなのか? それともただの普通の少女なのか? 彼女は時折、幼い頃の記憶を思い出し、「本当にここにいるべきなのか?」という疑念を抱くようになります。

神殿の掟に対する疑問
彼女は「神々への奉仕」がすべてだと教えられていましたが、墓所の神々は彼女に何の答えも与えませんでした。司祭たちや巫女たちは「神々は沈黙している」と言いましたが、彼女の心には「では、なぜ私たちは仕え続けるのか?」という疑問が芽生えました。

支配される存在ではなく、支配する者としての葛藤
彼女は「墓所の主」とされていましたが、実際には神殿のルールに縛られ、自由に生きることはできませんでした。彼女は時折、神殿の権力を試そうとしましたが、結局のところ、彼女は「偉大な存在」でありながら、何も決めることができない存在であることを思い知らされました。

こうした葛藤の中で、彼女の人生を変えたのがゲド(ハイタカ)との出会いでした。彼との交流を通じて、彼女は自由を求める心を強く持つようになります。

映画『ゲド戦記』では、テナーがどのようにして今の生活に至ったのかについて多くは語られません。しかし、原作では彼女の過去が詳細に描かれており、それが彼女の価値観や行動の背景となっています。

映画を見た際に、テナーの過去や彼女の内面についてより深く理解したい場合は、原作を読むことでその背景が見えてきそうです。


墓所でのテナーとハイタカの関係は?今後どうなる?

彼らはかつての墓所で運命的に出会い、共に逃亡し、テナーは彼を「ゲド」として認識し、信頼するようになりました。その後も彼女の心には常に彼の存在がありました。

特に『帰還』において、ゲドが魔法の力を失い、普通の人間としての生き方を模索している間、テナーは彼を受け入れ、共に暮らします。彼女にとってゲドは、単なる恩人ではなく、人生を通じて特別な存在となっていきます。

原作におけるテナーとゲド、初めての出会い

ハイタカとテナーの間に深い信頼が生まれたのは、テナーがまだ「アルハの墓所」の大巫女として生きていた時のことでした。彼女は幼い頃に「アルハ」という名を授かり、神殿に仕えるためだけに育てられた存在でした。地下墓所の暗闇と沈黙の中で、自分という存在を消し去り、ただ「無名の者たち」に仕える巫女としての役割を生きることを強いられていたのです。「無名の者たち」は、古代から崇拝される名を持たない闇の存在で、恐怖と沈黙を象徴する神々です。

そんな彼女のもとに、ある日、異国からの侵入者としてゲド――ハイタカが現れました。彼は神殿に眠る古代の秘宝「こわれた腕環」の欠片を求めて、禁断の迷宮へと踏み込んだのです。テナーは彼を捕らえ、地下の闇に閉じ込めました。しかし、彼をただ殺すことができず、何日も食べ物と水を与え続けました。これは、テナーがゲドに対する恐れと興味の間で揺れ動き、彼の静かな勇気と人間らしさに惹かれ、自らも抑圧された心に疑問を抱き始めたためです。ゲドの言葉は、これまで彼女が耳にしたことのない優しさに満ち、また、何よりも彼がテナーを「ひとりの人間」として見ていることが、彼女の心にゆっくりと変化をもたらしました

ゲドは彼女に「名前」の持つ本当の力を語りかけ、忘れかけていた自分の名前――「テナー」という名を思い出させます。それは、彼女が「アルハ」という役割ではなく、ひとりの人間として存在することを認められた瞬間でした。彼のまなざしは支配や強制のものではなく、選ぶ自由を与えるものであり、それによってテナーは初めて「選ぶ」という行為を知ることになります

やがて、ゲドとテナーは協力して地下迷宮から脱出する計画を立て始めます。ゲドは決してテナーを無理に従わせることはせず、彼女の意志を尊重し、信じ続けました。その態度は、これまで神殿の誰からも受けたことのないものでした。ゲドは「この世界にはもっと広い場所がある」と語り、テナーに「自由」という概念を示したのです。それは、闇の世界しか知らなかったテナーにとって、目を開かれるような言葉でした。

脱出の時、ゲドは魔法と知恵を尽くしてテナーを守り抜きます。彼は危険な状況の中でも彼女の命を第一に考え、自らの命をかけて彼女を安全な場所へと導こうとしました。その献身と誠実さが、テナーの中にあった恐れや疑念を完全に拭い去り、ゲドへの深い信頼と絆を育む決定的なきっかけとなったのです。

こうして、テナーは「アルハの墓所」の大巫女としての自分を捨て、ハイタカと共に新たな人生へと踏み出す決意を固めました。その選択こそが、ふたりの間に結ばれた固い信頼と、後に続く絆の始まりだったのです。

アチュアンの墓所を脱出した後、テナーはゲドとともにハブナーの島を経て、ゴント島へと渡りました。ゴント島はゲドの故郷でもあり、険しい山々と豊かな自然に囲まれた土地です。そこで彼女は、新しい人生を歩み始めました。

ゴント島での静かな生活

テナーは、アチュアンの墓所での過去を捨て、新たな環境で暮らすことを選びました。彼女はやがて農夫であり鍛冶屋でもある男性、フラックと結婚し、家庭を築きます。二人の間には息子のヒバナと娘のリンゴが生まれ、テナーは母親としての役割を担うようになりました。

・子育てと日常の変化
アチュアンでの生活とは異なり、ゴント島での暮らしは静かで穏やかなものでした。テナーは農作業や家事をこなしながら、家族とともに過ごし、かつての孤独とは異なる温もりを感じるようになります。彼女の生活は地に足のついたもので、かつて神殿で「選ばれし巫女」として崇められていた日々とは対照的でした。

しかし、彼女は完全に過去を忘れたわけではありませんでした。時折、アチュアンの墓所での出来事や、神殿で教え込まれた価値観が頭をよぎることもありました。とはいえ、彼女はもう墓所の主ではなく、ただの一人の女性として生きることを選んでいました。

(その後、テナーは夫を失い、未亡人として生きています。テルーとの出会いはこの後の話になると考えられそうですね。そして、テナーとゲドの再会はこのタイミングに入れると、なんとなくおさまりがいいように思います。ただ、原作ではアレンとテルーは物語の主役の時期が異なるため、直接的な関係性は薄く、ジブリ版映画による関係は、オリジナルの設定とは異なるものだと考えられそうです。)

なので、以下は、映画ゲド戦記で描かれた世界の様子を原作に求めた場合の出来事になります。

『帰還』— 再び変わる人生

テナーの穏やかな生活は、ある出来事をきっかけに再び大きく変わることになります。それは、魔法の力を失ったゲドとの再会でした。

・魔法を失い、打ちひしがれたゲド
かつて偉大な大賢人(アークメイジ)として世界を救ったゲドは、ある試練を経て魔法の力を完全に失い、もはや魔法使いではなくなっていました。彼は、傷つき、弱り果てた姿でゴント島へと帰ってきたのです。かつてのような威厳も力もなく、ただの人間として生きることを余儀なくされていました。

・テナーとゲドの関係の変化
かつてテナーは、ゲドによって墓所から解放されました。しかし、今度は彼が彼女に助けを求める立場となりました。テナーは、彼を自分の家に迎え入れ、世話をし、回復を手助けします
この時点で、彼女はすでに夫フラックを亡くし、未亡人となっていました。彼女は母親として子どもたちを育てながら、ゲドの新たな生き方を支える存在となっていきます。

・魔法がないゲドと生きる選択
ゲドはかつて世界を股にかける大魔法使いでしたが、もはや魔法は使えません。そんな彼をテナーは責めることなく、彼自身が新しい人生を見つけることができるよう、穏やかに支え続けます。

・再び愛を見つける
二人の関係は単なる友情ではなく、やがて深い愛へと変わっていきました。若き日にともに墓所を脱出した二人は、長い年月を経て、人生の伴侶となる道を選びます。これは、かつて「巫女としての役割」や「アークメイジとしての使命」に縛られていた二人が、初めて「自分たち自身の選択」として人生を共に歩むことを決めた瞬間でもありました。

ジブリ映画『ゲド戦記』におけるテナーとハイタカの関係

映画版『ゲド戦記』では、テナーとハイタカ(ゲド)の関係が異なる形で描かれています。以下にそのポイントを整理します。

  • テナーの立ち位置
    映画では、テナーは既にゴント島で生活しており、ハイタカ(ゲド)やアレンと共に登場します。
  • ハイタカとテナーの関係
    映画の描写では、二人の関係は過去のつながりを示唆しながらも、明確に語られることはありません。しかし、クモが消滅した後、館から出てくるテナーがハイタカの腰に手を回す場面があり、これは二人の関係が単なる友情や信頼を超えたものであることを暗示しています。
  • 原作との違い
    映画では、テナーが既にゴント島にいる点や、彼女の過去についての詳細な描写がないため、原作を読んでいない視聴者にとっては二人の関係がやや分かりにくくなっています。

物語の中で、彼らの関係は恋愛と単純に分類できるものではありません。むしろ、お互いの人生における大切な「伴侶」として、信頼と尊敬に基づいた関係を築いているのです。今後も、彼らは互いに影響を与えながら生きていくことでしょう。


ジブリゲド戦記で、なぜハイタカのことを「ゲド」と呼んだ?

映画の中で、テナーはハイタカに会うなり「ゲド」と呼んでいました。ゲドという真の名前を使うことができるのは、心許し合った関係においてのみです。映画ではその親密な関係を端的に表現するために、のっけから「ゲド」という呼び名を使ったのだろうと推測します。

テナーが「ゲド」と呼ぶようになったのは、ふたりの関係が「捕らえた者」と「捕らえられた者」という立場から、対等な人間同士へと変わっていった過程の中にあります。最初、彼女にとってゲドは、ただの侵入者であり、異教徒でした。地下迷宮に閉じ込め、餓死させることもできたにもかかわらず、テナーは彼を殺さずに食べ物と水を与え続け、次第に彼の言葉に耳を傾けるようになります。ゲドは彼女に「名の力」を語り、自分の真の名を明かしました。それは「ゲド」という名でした。

アースシーの世界において、真の名を誰かに教えることは、自らの力と存在を相手に預けることを意味します。ゲドが自らの名を告げたことで、テナーは初めて彼を「ただの男」や「異教徒」ではなく、名前を持つひとりの人間として認識し始めたのです。

そして、その瞬間から、彼女は「ゲド」という名を呼ぶようになります。それは、長く無名の神に仕え、「アルハ」という仮面をかぶって生きてきた彼女が、自らの本当の名前「テナー」を取り戻す過程と重なり合うものでした。ゲドの名を呼ぶことは、彼女自身が「名を持つ存在」としての自分を認め、無名の影に囚われる生き方を捨てる第一歩でもあったのです。

地下迷宮から脱出し、廃墟となった神殿を後にするとき、彼女はもう「アルハ」ではなく「テナー」としてゲドと共に歩き出します。そして、彼を「ゲド」と呼ぶその声は、ふたりの間に芽生えた深い信頼と、新たな自由への希望を象徴していました。 映画で「ゲド」と呼ぶ関係は、この当時に築かれていました。


テナーとテルーの関係は?

ジブリ映画『ゲド戦記』では、テナーとテルーの関係も重要な要素の一つです。テナーはテルーを養女として迎え入れ、彼女を愛情深く育てます。

テルーは過去にひどい虐待を受けた少女であり、傷ついた心を抱えていました。そんな彼女を受け入れ、優しく導いたのがテナーでした。テナー自身も、かつてカルガド帝国で自由を奪われていた過去を持っていたため、テルーの苦しみを理解することができたのかもしれません。

テナーとテルーの関係は、単なる母娘関係以上のものです。テナーはテルーに生きる力を与え、テルーはテナーにとって新たな希望の象徴となります。さらに、テルーは物語の中で重要な役割を果たす存在であり、彼女の正体はただの少女ではありません。

映画のラストでテルーが竜の姿を見せることから、彼女は人間と竜の間に立つ存在であることが示唆されています。テナーは、彼女の力や運命を知りながらも、変わらずに愛情を注ぎ続けるのです。


まとめ

  • テナーの過去:かつてカルガド帝国の神殿で巫女として育てられたが、ゲドと出会い自由を得た。
  • テナーとハイタカの関係:長年にわたる信頼と尊敬の関係があり、『帰還』では共に生活する。映画では彼の腰に手を回す場面があり、特別な絆が示唆される。
  • 「ゲド」との呼び名:ハイタカの真の名であり、テナーが彼を深く信頼している証拠。
  • テナーとテルーの関係:虐待を受けたテルーを養女として迎え入れ、深い愛情を持って育てる。

『ゲド戦記』におけるテナーは、自由を求め、愛を持って他者を受け入れる強い女性として描かれています。ハイタカやテルーとの関係を通じて、彼女自身も成長し、人生を豊かにしていきます。彼女の生き方は、多くの人にとって希望と勇気を与えるものといえそうですね。

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